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ゼブラフィッシュ創薬と プレシジョンメディシン(精密医療)

 

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開催日 2018年8月3日 開始:12:30 | 終了:16:30 | 開場:12:00
会場 [東京・京急蒲田]大田区産業プラザ(PiO)6階E会議室
東京都大田区南蒲田1-20-20[東京・京急蒲田]大田区産業プラザ(PiO)6階E会議室[地図]
※地図は若干の誤差が生じる場合があります。詳細は主催者よりご連絡いたします。

講師 三重大学院医学系研究科システムズ薬理学 教授 メディカルゼブラフィッシュ研究センター長 田中 利男 氏
定員 30名
主催 株式会社 情報機構
受講備考 1名41,040円(税込(消費税8%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき30,240円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

以下、申込要領をご了承のうえお申込み下さい。

<申込要領>
※受講料のお支払いは、原則として開催日までにお願いいたします。
  当日会場でのお支払いも可能です(請求書に同封の振込連絡書にてその旨ご連絡下さい)。

※申込後、ご都合により講習会に出席できなくなりました場合は、代理の方がご出席ください 。
 止むを得ず欠席の場合、弊社事務局迄ご連絡下さい(受付時間9:00-17:00)。
 以下の規定に基づき、料金を申し受けます。
 開催日から逆算(土日・祝祭日を除く)して、
  講座5日前以前での欠席のご連絡:受講料は頂戴いたしません
  講座3日前~4日前での欠席のご連絡:受講料の70%
  講座当日~2日前での欠席のご連絡:受講料の100%
  セミナー開始後のご連絡なき場合の欠席:受講料の100%

※最小催行人数に満たない場合等、事情により中止になる場合がございます。
   講座の中止・延期に伴う、会場までの宿泊費・交通費等(キャンセル料含)の補償は
   致しかねますのでご了承ください。

詳細はhttp://www.johokiko.co.jp/seminar_medical/AA180851.php
関連資料

概要

セミナーポイント
■講座のポイント
 現代のゲノム創薬時代においてもFirst-in-Class創薬の多くは、フェノタイプスクリーニングにより実現していることから、ゼブラフィッシュ創薬は、 First-in-Class創薬を成し遂げており、そのハイスループットライブin vivoフェノタイプスクリーニングによるフェノミクス創薬が特徴であり、ポテンシャルの大きさが期待されております。
 そこで最新の我々の成果と国際的展開について報告させていただきます。我々はこのin vivo フェノミクススクリーニングの自動化、定量化、高速化、可視化などを確立し、さらにヒト化ゼブラフィッシュ開発を進行しております。また臨床患者がん移植ゼブラフィッシュによるプレシジョンメディシン(個別化医療)やin vivoスクリーニングに展開していますので、具体的戦略を、ご報告いたします。

■受講後、習得できること
・ゼブラフィッシュ創薬の国際的現状とポテンシャルの大きさを理解できる。
・ゼブラフィッシュ創薬の現在までの成功例と課題が明白になる。
・ゼブラフィッシュ創薬の課題に対するソリューションを具体的に実践可能となる。
・次世代ゼブラフィッシュ創薬のあるべき研究開発戦略が、明確となる。

■本テーマ関連法規・ガイドラインなど
・ICH S5 (R3)の Embryonic and Fetal Development Study (EFD)において、
 2019年にゼブラフィッシュなどの導入が予定されている。
・動物愛護に関連して、Directive 2016/63/EUにおいて、
 自力での摂食がないゼブラフィッシュ稚魚が対象から除外されている。

■講演中のキーワード
・ゼブラフィッシュ創薬
・患者がん移植モデルゼブラフィッシュ
・ヒト病態モデルゼブラフィッシュ
・定量的ハイスループットライブ in vivo イメージング
・個別化医療
・プレシジョンメディシン(精密医療)
・in vivoフェノタイプスクリーニング

セミナー内容
1. 欧米では、なぜゼブラフィッシュ創薬が勃興してきたか
 (1) 1999年?2008年において、米国FDAに認可された新薬を解析すると、62%の画期的新薬(First-in-Class)は、フェノタイプスクリーニングにより見出されている。
 (2) 現状のターゲットベースなリバース薬理学の限界を克服するために定量的in vivoフェノタイプスクリーニングが注目され、生体レベルでのフェノタイプやメカニズムの定量的ハイスループットスクリーニングが可能なゼブラフィッシュへの期待が大きくなりました。
 (3) リバース薬理学の困難性に対するソルーションとして2011年10月に、定量的システムズ薬理学(Quantitative and Systems Pharmacology)白書が、米国NIHより報告されました。ゼブラフィッシュはin vivoハイスループットスクリーニングが実現する唯一の脊椎動物モデルであり、全く新しいパラダイムを実現することになります。
 (4) 動物愛護管理法との調和が、ゼブラフィッシュ創薬を促進する。
 (5) オミクスを基盤としたライブin vivoフェノタイプスクリーニングが、重大な役割を果たす。
 (6) 初期にゼブラフィッシュフェノタイプスクリーニングが著効した成功例について、画期的医薬品(First-in-Class)1例とドラッグ・リポジショニング(Drug Repositioning, Drug Reprofiling, Drug Repurposing)に加え、世界初難聴予防薬(Oricula Therapeutics)が、2018年臨床治験に突入したことを事例報告する。
 (7) 2019年ICH発生毒性ガイドラインにゼブラフィッシュが導入される。

2. ゼブラフィッシュ創薬は、なぜ発展し続けているか
 (1) ヒト疾患関連遺伝子クラスターで約80%の相同性があり、ほとんどのヒト単一遺伝子疾患モデル創成が可能となる。これを可能にするCRISPRなどのゲノム編集効率が良い。
 (2) 我々は、ALSや筋ジストロフィーなどの単一遺伝子疾患モデルに加えメタボリックシンドロームや心不全などの生活習慣病モデルを多数創成し、メカニズムや化合物のスクリーニングを展開している。
 (3) 現在64種類の透明トランスジェニックゼブラフィッシュ(MieKomachiシリーズ)により、ライブハイスループットin vivoスクリーニングや定量的病態in vivoイメージングが、脊椎動物で初めて可能となった。
 (4) まずヒト臨床病態を可能な限り正確に写し取るヒト疾患モデルゼブラフィッシュによるフェノタイプスクリーニングが成し遂げられ、シード化合物が発見される。
 (5) この時に、真の創薬ターゲットが不明な場合もあり、シード化合物をツールとしてフォワード薬理学により作用機構解明がハイスループットで可能なのもゼブラフィッシュ創薬の第二の特徴です。
 (6) すなわち、疾患関連分子が必ずしも創薬ターゲットにならない場合や多数のパスウエイによる共通疾患フェノタイプをカバーしており、First-in-Classシードの可能性を数多く確保できるポテンシャルが特徴となります。
 (7) 以上の実績から、ゼブラフィッシュ創薬は、単なる安価なマウスや追加的薬理試験ではなく、フォワード薬理学とリバース薬理学を統合したものであり、最終的には強力なPK/PDモデルとして構築されることが期待されていることから、真に21世紀的システムズ薬理学戦略であることが明らかです。

3. 患者がん移植ゼブラフィッシュモデルは、次世代がん研究ツールとして確立している
 (1) 患者がん移植免疫不全マウスモデルに比較して、必要ながん細胞数が100個(高度免疫不全マウスは、100,000個必要)であることから初代移植モデルから個別化医療や創薬スクリーニングが実現する。
 (2) 患者がん移植ゼブラフィッシュモデルは、免疫学的に未熟な受精後36時間以内での移植生着が可能であり、がん宿主環境がヒト臨床病態に近く、がん細胞増殖、腫瘍血管新生、転移などが定量的ライブin vivoイメージングが可能である。
 (3) 患者がん移植ゼブラフィッシュモデルは、生着や定量的薬効解析に必要な時間が短いため、手術検体受理後100時間以内に、その患者がんに使用できる複数の抗がん剤感受性定量情報を、臨床現場でフィードバックできることが実証できている。
 (4) これらヒトがん細胞のゼブラフィッシュ移植システムは、臨床体外診断システムとして、真の個別化医療ツールになることが期待されている。
 (5) 従来の個別化医療は、遺伝子多型(ゲノム)、遺伝子発現レベル(トランスクリプトーム)、プロテオーム、メタボロームなどのオミクスを基盤とした大規模集団統計学予測により構築されようとしております。
 (6) 臨床がん検体移植ゼブラフィッシュによる個別化医療は、各患者がん検体のフェノミクス解析に加え移植がん細胞のオミクス解析データを統合し、その患者の治療薬と用量を決定する真の次世代プレシジョンメディシン(精密医療)であり、大きなパラダイムシフトが実現しつつあります。

4. ゼブラフィッシュ創薬は、現在安全性研究が先導している
 (1) 2019年ゼブラフィッシュのICH発生毒性ガイドラインへの導入予定もあり、ゼブラフィッシュによる安全性研究が国際的に急激発展しており、そのために不可欠な受精卵品質管理プロトコルが我々により開発され、普及しつつある。
 (2) 特に神経毒性研究は、国内外で前臨床スクリーニングのルーチンワークとなっている。
 (3) 世界的なoncocardiology発展に対応して、全世界で使用されている全ての抗がん剤および今後の開発医薬品の心毒性とその作用機構が明らかになる。
 (4) 動物愛護管理法との対応で、医薬品に加え農薬、機能性食成分や化粧品成分などの多様な化合物安全性研究ツールとしてゼブラフィッシュの有用性は、明らかである。

5. ゼブラフィッシュ創薬基盤において最重要課題は、多様なヒト疾患モデルゼブラフィッシュの受精卵の品質管理や飼育管理のプロトコル確立であり、現在我々は世界標準プロトコルを構築中である
 (1) 飼育管理は、ヒト病態モデル別にプロトコルを最適化する必要がある。
 (2) 全てのヒト病態モデルゼブラフィッシュ共通飼育管理での重要項目は、給餌栄養管理、感染予防対策、感染後対応戦略、飼育環境管理などで、世界的にもプロトコル改善が不可欠である。

6. 次世代ゼブラフィッシュ創薬開発が展開している
 (1) ゼブラフィッシュ創薬は、創薬戦略にパラダイムシフトを確実に起こしていますが、まだ国際的にも10年余の歴史しかなく技術的にも経験的にも未熟な部分を多く残しているため、本来持っているポテンシャルを見誤ることがあります。そこでまず、その弱点を克服するためにも、ゼブラフィッシュ創薬が必要としている最初のプロセスの強化が、緊急課題と思われます。特に1)広範なヒト疾患モデルの拡充と高度化、2)ゼブラフィッシュ疾患フェノミクス技術の先端化、3)in vivoハイスループットスクリーニングの自動化、定量化、高速化、高度化などは、ゼブラフィッシュ創薬の成否を決める最重要技術革新です。
 (2) ヒト疾患モデル創成は、高度化と種類の多様性が必要条件となっています。まず他の種でも可能となったゲノム編集技術(ZFN,TALEN,CRISPRなど)により、ゼブラフィッシュでも広範なヒト疾患遺伝子のノックアウトやノックインが急激になされ、多様な単一遺伝子疾患モデルが開発されています。
 (3) 一方、ゼブラフィッシュ薬物動態遺伝子のノックアウト・ヒト薬物動態遺伝子のノックインなどにより全身の薬物動態をできるだけヒト化することが可能になりつつあります。
 (4) さらにヒトiPS細胞などの移植によるヒト化キメラゼブラフィッシュ創成により組織レベルでのヒト化ゼブラフィッシュが実現しつつあります。
 (5) ゼブラフィッシュ疾患フェノミクスの先端化は、ゼブラフィッシュ創薬のコアテクノロジーの一つです。ゼブラフィッシュ創薬において定量的フェノタイプ解析がゼブラフィッシュ創薬のスタート点であることからすべてを決定する重要な基盤技術となります。
 (6) 脊椎動物であるゼブラフィッシュは、多くの場合ヒト臨床フェノタイプとの類似性やそのオミクス機構における相同性も確認されている。これらのことが、ヒト疾患モデルゼブラフィッシュの定量的フェノタイプスクリーニングのスループットとフェノタイプ外挿性を同時に実現していることから、ヒト臨床オミクスに外挿した薬効定量解析が可能としている。
 (7) 脊椎動物でライブin vivoスクリーニングがハイスループットで実現することが、ゼブラフィッシュの最大の特徴であることは明らかです。国際的に2000年から、96ウエルプレートによるゼブラフィッシュスクリーニングが開始されましたが、現在我々は1536ウエルプレートゼブラフィッシュスクリーニングシステムなどを目的別に開発しています。
 (8) ゼブラフィッシュゲノム全体はヒトと約70%の相同性があるとされていますがこの差異はむしろ、ヒトがん細胞移植部位の宿主ゼブラフィッシュ微小環境とヒト移植がん細胞のマイクロアレイや次世代DNAシークエンサーによる相互作用解析に有利な点となっています。
 (9) TALENやCRISPRによるゲノム編集がゼブラフィッシュで効率が良いことなどから、創薬ターゲットバリデーションや新薬作用機構の解明におけるスループットを圧倒的に高くしています。
 (10) 受精後1日で心拍動が認められる等臓器形成が著しく早く、1組1回で約200個の受精卵が得られ、動物愛護との調和性が高いことなどが、欧米で早くから活用されている理由です。
 (11) さらに、体長3mmの稚魚で、精密なフェノタイプ解析を96穴プレートにより、1mg以下の各化合物でin vivoにおける薬効と安全性の大規模スクリーニングが完了できる等の極めて多くの特徴が認められる新しいヒト疾患モデル生物です。
 (12) さらに、種々の色素欠損ラインと細胞選択的蛍光蛋白トランスジェニックゼブラフィッシュの交配などにより、各ヒト疾患モデルのライブin vivoイメージング用ゼブラフィッシュを現時点で64種類(MieKomachiシリーズ)以上開発し、定量的フェノタイプスクリーニングに活用しています。
 (13) 一方トランスジェニックゼブラフィッシュでカバーできない生体内細胞ライブin vivoイメージング用プローブを多数創製し、各病態イメージングに活用しています。
 (14) これらの基盤技術をさらに強化して、オミクス研究の急速な発展に対応できるフェノミクス解析システムを構築するため、ライブin vivoイメージングや行動解析をコアに、高速化、定量化、高度化等によるフル自動化とInternet of Zebrafish(ゼブラフィッシュ版のIoT)の実現を目指しています。
 (15) さらに、ヒトがん幹細胞移植モデルを確立して、新規蛍光ヒトがん幹細胞阻害薬を発見し、ヒトがん幹細胞におけるステムネス機構を解析しております。



セミナー概要

    

セミナー概要2







三重大学院医学系研究科システムズ薬理学 教授 メディカルゼブラフィッシュ研究センター長
田中 利男 氏
■経歴
1975年 三重大学医学部卒業
1975年 三重大学付属病院研修医
1980年 三重大学大学院医学研究科薬理学修了(医学博士)
1980年 三重大学医学部薬理学助手
1982年 三重大学医学部薬理学講師
1982年 米国ベイラー医科大学細胞生物学留学
1988年 三重大学医学部薬理学教授
2005年 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス教授
2009年 三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター長
2016年 三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教授
現在に至る

■専門および得意な分野・研究
・ゼブラフィッシュ創薬と患者がん移植ゼブラフィッシュモデル
・ゼブラフィッシュによるヒト病態モデルの創成とin vivoスクリーニング
・透明ゼブラフィッシュ(MieKomachiシリーズ)によるin vivoヒト病態イメージング解析
・患者がん移植ゼブラフィッシュモデルによるプレシジョンメディシンの実現

■本テーマ関連学協会での活動
ゲノム創薬・医療フォーラム






講師

  • 三重大学院医学系研究科システムズ薬理学 教授 メディカルゼブラフィッシュ研究センター長
    田中 利男 氏

    ■経歴
    1975年 三重大学医学部卒業
    1975年 三重大学付属病院研修医
    1980年 三重大学大学院医学研究科薬理学修了(医学博士)
    1980年 三重大学医学部薬理学助手
    1982年 三重大学医学部薬理学講師
    1982年 米国ベイラー医科大学細胞生物学留学
    1988年 三重大学医学部薬理学教授
    2005年 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクス教授
    2009年 三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター長
    2016年 三重大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教授
    現在に至る

    ■専門および得意な分野・研究
    ・ゼブラフィッシュ創薬と患者がん移植ゼブラフィッシュモデル
    ・ゼブラフィッシュによるヒト病態モデルの創成とin vivoスクリーニング
    ・透明ゼブラフィッシュ(MieKomachiシリーズ)によるin vivoヒト病態イメージング解析
    ・患者がん移植ゼブラフィッシュモデルによるプレシジョンメディシンの実現

    ■本テーマ関連学協会での活動
    ゲノム創薬・医療フォーラム

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